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「予感」-toma side-
少しづつ。少しづつ。
日常が狂い始めていた。
白炎が俺に唸ったり。
征士の背後に立とうものなら。
もの凄い形相で振り向かれたり。
何より。天空の友である鳥たちが。
俺の元を飛び立ったのはショックだった・・・
そんな中。珍客が訪れた。
ラジュラとアヌビスが柳生邸を訪れたのだ。
リビングで征士と談笑するアヌビス全然話がかみ合わない。
笑い転げる遼。
俺は。ラジュラが何の為に訪れたのか。
考えるだけで不機嫌だった。
ふと。アヌビスが俺を見る。
顔色が変った。
そして。なにやら。ラジュラに耳うちをしている。
ラジュラが。俺を見る。
そして。ゆっくり立ち上がり。
お茶を持ってきたナスティとぶっかりそうになりながら。
リビングを出て行く・・・
「あの野郎。秀のところにいったな・・・」
俺はこれから自分の身に降りかかることなど。
予感もせずに。
ただ秀とラジュラしゃべると言うだけで。
ムカムカしていた。
「煩悩京」
俺は。伸に廊下に呼ばれた。
伸は俺に言った。ラジュラが見た。
俺の人ならざるものの影。
自分の俺に感じた違和感。
俺は。黙って伸の言うことを聞き。
「秀からは。聞いたのか。」と言ってみた。
「秀が君の中に入ってみたものはあらかた・・・」
「そうか・・・で。」
「ラジュラとアヌビスの言うことには。治療は煩悩京の方が良いってさ。
錫杖もあるし。カユラもいるし。退魔堂てところもあるらしいよ。」
最後通告のように。伸の声が遠く聞こえる。
俺は今までの日常とかけ離れた。そんなわけの分らないところには。
本当は行きたくない。しかし・・・でも・・・
「魔か・・・俺の意思で抑えるのも限界かもしれないな。
秀がお前と話しをしているだけで。
両方を殺したい思いに駆られる。」
俺の心の中に反して口にでた言葉はそんな言葉だった。
まるで。自分が自分では無いように。俺は自分の話す言葉を。
ぼんやりと聞いていた。
「俺は行くよ。ラジュラ、アヌビス頼む。」
秀を見ることができなかった。
伸のとなりでなにか俺に話しかけてくれているような。
気がしたのだが。
顔を上げて。秀の顔を見ることができなかった。
「お主を抱いても面白くもなんともないのだが。」ラジュラが言う。
「俺もお前が嫌いだ・・・」と俺。
ラジュラは「別にお主に好かれようとも思わないぞ・・」と言うと。
クックックッと笑った。
「しばらく留守にします。みんなに宜しく。」と言った傍から。
俺を取り巻く日常が全て消えていった。
「一体化」
「天空どの!!一体どうなされたのです!!!」
カユラが俺を見たとたん血相を変えた。
ラジュラとアヌビスがいままでのことのあらすじを。
大まかにカユラに話した。
「天空どのに。凄ざまじい。妖気を感じます・・・
煩悩京に来る前は。
私の一族は退魔行をなりわいとしていたので。
私もひととおりできますが。
私の手におえないものかもしれません。・・・」
どうやら。俺が思っていたものより。
とんでもないものを背負い込んだようだ。・・
「とにかく。どのようなものか。やってみます。」
錫杖を俺の頭上に翳すと。真言を唱え始めた。
とたんに俺は気持ちが悪くなって。吐きそうになってしまった。
ふうふうと肩で息をし。頭もガンガンする。
「カユラちょっとタンマ・・・凄い気持ちが悪い・・・」と。
言ったきり俺は自分の意識が遠のいていくのを感じた。
光の中で。秀が笑っている。
俺はあの光の中に帰ることが。
出来るのだろうか・・・・
「天空殿を退魔堂に封印します。ラジュラ殿、アヌビス殿、天空殿を。
運んでください。」遠くでカユラの声が聞こえる。
頭がガンガンする。またあの声が聞こえる。
奪え。犯せ。そして殺せと。
柳生邸の物陰で人の目を盗んで。
秀とキスした。秀のくちびるはもっちりして。
ほっぺたはやわらかくって。
まるで肉まんのようだった。
本当は。もっと色々触りたたかったけど。
あの声に引きずられて訳が分らなくなりそうで。
秀から唇そして手を離す。
一瞬なんか名残惜しそうのな秀の顔。
そして照れくさそうに「ヘヘへ。」と2人で笑った。
胸が痛くなるような思い・・・・
俺の意識は深く底なし沼のような闇に飲まれていく。
「いけません。天空どの!!!」カユラの声が聞こえる。
そしてまた真言。
俺の体が変わっていくのを感じる。
メキメキ音をたて。大きくそして爪は長く異形のものへと。
「秀!!」と叫んだつもりだったのだか。
出た音は似ても似つかない獣のような咆哮だった・・・・
天空はもうダメだな・・・誰かの呟く声が聞こえた。
「風」
俺の意識は体を抜け出し。
風になった。
ラジュラがカユラと何か話している。
「くれぐれも。
みなさんに気落ちせぬようお伝えください・・・
私も。もう少し頑張ってみます。」
ラジュラについて。懐かしい柳生邸への道を歩む。
俺が死んだら。
こんな感じに。みんなをとりまく風になるのか・・・・
誰かが走ってくる。秀だ。
息せききって全速力で。
ラジュラの腕を掴みゼイゼイいっている。
「当麻は。あいつは。どうなった。・・・・」
なにも言わないラジュラに詰め寄る。
「金剛その話しは。みなの前で。」
「言えよ。言ってくれよ。ラジュラお願いだ。お願いします。」
秀は叫びラジュラに食い下がった。
「いいか。心をしっかり持って聞け金剛よ。
天空はもう。ダメだ・・・
あまりにも一体化してしまってもう人の姿をしておらぬ。
智の玉はしばらくは。持ち主を失うであろう。」
俺は。秀が倒れるのではないかと思った。
ラジュラの腕を掴んでいた手から力が抜ける。
ラジュラの前で膝をつき。言葉にならない叫びをあげた。
「金剛ゆるせよ・・・なにもなにもお主の手助けをできない我を・・・」
ふいに。ラジュラの腕を掴んでいた手に力がこもる。
「ラジュラ頼みがある。・・・俺を煩悩京に連れて行ってくれ。
もう一度当麻に会いたい。
そしてダメだったら俺の手であいつを送ってやりたい。約束なんだ・・・」
顔を上げた秀は。少し涙ぐんでいるように見えた。
嬉しかった・・・それだけで。俺は嬉しかった・・・
「退魔堂」
秀が退魔堂に入ってきた。
まるで逆光で写真を撮られているように。
俺の目にはまぶしかった。
「さてと。・・・」と秀はこっちを見る。
「よお!お前に会うのは2度目だな!!今度は。前の奴か。それとも当麻か?・・・・」
俺は。今は俺の体とは思えないような姿を。
ゆっくり動かし秀に近寄った。
俺の指には奇妙なほど長い爪が生えている。
その爪を秀の唇に置き。
「殺してくれ。秀・・・・。俺を殺してくれ。」と声を絞りだしてみた。
情けないほど。奇妙な声だった。とても人ではない・・・秀はその言葉を聞くと。
顔を輝かせて。
「当麻。当麻だな!!」と。俺の体に抱きついてきた。
「戻してやるからな。絶対。俺が戻してやる。」
そう抱きついてきた体は。
やわらかく暖かかった・・・・
「生き血」
喉がやたらに渇く。体がザワザワする。
「おぉ。食事。食事。焼き魚。味噌汁。ごはん。う~ん美味いぜ。
当麻も食べるか?・・・」秀が俺に聞く。
俺の空腹はそんなものでは。満たされない。喉の渇きも癒えない。
それは。体の奥底から俺に伝わってくる。
首をよこにふる俺。
秀が食事の時鳴らす喉。あそこに俺を癒せるものが。流れている。
暖かい生命の源だ。変わってしまった俺の目には。
その命の脈動が見える。・・・・欲しい・・・・渇きを癒したい。
「うわ~2人前も食べちまったから。腹一杯だ。」
ゴロっと横になる秀。
「当麻横にこいよ!!昔はよくこんな風に昼寝したよな~。」
秀の横に行く。長い指で秀の顔を掴み向かせる。
「秀。すまん。俺。腹減った。」
「なんだよ。だからさっき食べるかと聞いたんだぞ。」
「違う。この姿になってからの食べ物。それは。生き血。・・・」
暫く沈黙して。唖然と俺を見る秀。
「ゲ~~!!生き血かよ。解かったよ。ちょっとなぁ~~!」と。
言いながら献血のように腕を出す。
何か嬉しかった。秀が俺を思いやって俺の為に必死にしてくれるのが。
解かったから。
「首がいいなぁ?~~。」と注文をつけてみる。
それにも。
「ちょっとなぁ・・・ちょっとだぞ。あんまり痛いの好きじゃねえんだよなぁ。本当は・・・」と言いながら。
自ら首筋の髪をかきあげてくれる。
俺は。体の奥底から湧き上がってくる渇きと。
秀の首筋の魅力に逆らうことができず。
秀の首筋に牙を立てた。
暖かい甘いものが俺のすみずみを満たす。
なにかが弾けた。秀の生き血を吸った。
俺はもう俺ではなくなってしまった。
俺は。目の前にいる秀が。唯の極上の肉に見え。
内側からも外側からもその肉を味わった。
「贄祭り」
極上の肉の味は格別だった。
口から体内に広がる生命の躍動。
体内の暖かさ。秀は命の源のように。
俺の乾ききった飢えていた心を満たしてくれた。
腕の中でまるで捕らえられた魚のように秀の体がはねたと。
思ったら。俺の長い爪が濡れた。
このまま一つになってしまったらどんなに楽だろう。
ぐったりした。秀の体をそっと置き。
俺は。はじにいって秀を見ていた。
不思議と人であった時の。羽柴当麻の感情は動いてこなかった。
以前の俺であったら。こんな秀をみたら。
たまらなかっただろう。
そして。それが俺のしたことであったのだったら。
心が潰れるぐらい後悔と自戒に苦しんだだろう。
そんな。俺の感情は何処にいってしまったのだろうか。・・・
少し経つと。秀が気がついた。
そしてなにやら外と話している。
秀はそこに散らばった自分の服をはおり。
まるで。なにもなかったかのようにニッと笑った。
そして。俺たちの思い出の話を始めた。
秀の話す。プールに行ってアイスを食べて。
当たりが出るまで頑張ったとか。
落ち葉を集めて2人で焼き芋を焼いたとか。
そこにあったはずの思い出は。
まるで。望遠鏡を逆さに見たように。
遠く小さく俺の手の届かないところに。
ポツンとみえた。
俺はまるで。ショーウィンドウに
飾られて買えない子供のように。
その大切であったはずの思い出を見ていた・・・
俺の感情は何処にいってしまったのだろう・・・
「真言」
秀の思い出の話しをぼんやり聞いていた俺の。
頭の中に命令のようにあの言葉が木霊する。
「奪え。犯せ。そして殺せと。」
いやだ。それだけはしたくない。
まだ羽柴当麻の感情がどこかに残っているようだ・・・
秀を殺したくはない・・・
不意にあの不快になる真言が始まった。
俺は。獣のように咆哮をあげながら。
壁にぶつかり。床を這いずり回り。
吐きそうになる。
内臓をわしづかみにされて。
引っ張り出されているような。
気持ちの悪さ。
口から目から全て穴からなにか吹き出しているような。
気持ちの悪さ。
ふと真言が止った。
秀が必死になって俺を抱き起こそうとしている。
「おい。大丈夫か?」
俺は秀の胸に顔をうずめる。
秀がいるかぎり。まだ俺は人でいられるような。
気がした。秀を絶対に殺してはならない。
俺は命令のように木霊する声に。首を振り続けた。
秀は俺がこんなになっても変わらずにいてくれた。
「血飲むか?いくらでも飲んでいいぜ。」
俺は秀の首筋にむしゃぶりついた。
そして。また俺達はひとつになった・・・・
「夢の中」
夢の中で。俺は女と暮らしていた。
その女は驚いたことに秀をそっくりだった。
その風景はスクリーンに写している映画にように。
実感のわかないものだったが。
俺はその秀そっくりの女から目が離せなかった。
女は口と耳が聞こえないらしく。
スクリーンの中の俺とは意思の疎通ができないようだ。
俺は甲斐甲斐しく。湯を持ち体を拭いてやったり。
食事を運んだりしている。
どっかの土蔵か牢屋みたいなところに幽閉しているみたいだ。
そして夜になると俺はその女を抱く・・・・
初めは。俺のことを毛嫌いしていたみたいだが。
ある日。外に生えていた花を一輪届けたとき。女が笑った。
笑った顔が秀にみえた。少しでもその笑った顔が見たくて毎日花を届けた。
ある日。外が騒がしくなった。俺は女が連れて行かれると思い。
別の場所に連れて隠そうとしている。
女が俺の手を跳ね除け首を横に振った。
俺は。女の首に手をかけた。
事切れる前に何か。女が言っていた。俺は急いで唇を辿る。
その唇は。好きだ・・・好きだと言葉を俺に伝えた。
冷たくなった躯を抱き俺は泣いた・・・スマナイ・・・ありがとうと。
心の中を堅く覆っていた膜が。
その涙と一緒に流れ落ちるのを感じる。
俺の中に在る別の意識が。
この言葉を聞きたかった・・・・
あの時には聞けなかった・・・・・と言いながら。
遠ざかっていくのを感じる。
俺は俺の体が変わっていくのを感じる。
秀の俺を呼ぶ声が聞こえる。
俺は眩しい光の中にかえっていった。・・・
「終局」
気がつくと。俺は。
本殿の部屋の布団の中にいた。
俺の中にあった。
命令するような。
衝動もなくなっていた。
すべてが。夢のように思われた。
指先を見たり。口元を確認したりしていると。
秀が部屋の中に入ってきた。
風呂上りらしく。頬が上気している。
「よう~~!!起きたか。今回はお前も俺も大変だったなぁ。」と能天気に言い放つ。・・
「秀。」俺は秀を呼ぶ。
ただただ。人に戻れた。秀の傍にいられるということが嬉しくて。
俺は。横に座った秀の胸に顔を埋める。
「うわ~~!!なんだ。お前元に戻ったんじゃね~のか?」
秀が慌てている。すり寄せた胸から鼓動が聞こえる。
「うるさい。もう少し。このまま。もう少し。このまま。いさせろ。」
相変わらず。色気のない奴だなと思いつつ。
自分の照れ隠しもあって怒鳴ってしまった。
やっと。俺の気持ちが納まったのを確認して。
秀が傷に薬を塗り始めた。
着物を肌蹴させ。
自分の手の届くところから塗っている。
首筋に深くきりで刺されたような傷。
背中に残る剃刀できりさいたような傷。
あまりの傷の酷さに俺は顔を歪めた。
「秀。俺に塗らしてくれ。」
秀から。薬を取り上げ背中に塗ってみる。
胸が潰れそうだった。すべて俺がつけたものだ。
秀は慌てたように俺をふりかえってみた。
「当麻・・・」
俺は自分の頬に指をあててみた。
俺は泣いているのか・・・
こんな感情は退魔堂に居た時には。
おこらなかった。
俺は何も言えず。
ただ。ホロホロ出る涙も拭わずに薬を塗り続けた。
「泣くなよぉ。お前が戻ってきてくれた。それだけで。いいんだ。」
秀が俺の頭を抱き寄せる。
俺は自分の溢れてる涙を止めることができず。
秀の胸を濡らす。
「それに俺たちにはこれからがあるんだぜ。
あっちに帰ったら。同じことをお前にしてやるよ!!」
あまりなことを。秀がいきなり言い出すので。
出ていた涙も引っ込んだ・・・・(汗)
秀の傷が癒えた事を確認し。俺たちは煩悩京をあとにした。
「伸のおこごとが聞きたいぜ。」と言う秀に。
「腹減った。料理も食いたいなぁ。」と俺は返した。
2人でいれば何も恐くはない。
また忙しい日常が始まる。・・・・
ーーーーーーーーおわりーーーーーーーーーーーーーーーーー -
祭りの夜。
ちゃとくん作
人ゴミの中、ほんのちょっとだけ秀から離れる。
そして、秀がキョロキョロしだしたのを見計らって、さりげなーく、傍へと戻る。
「あっ、当麻っ、いたっ! お前なー、いい年して迷子になんかなるなよっ。」
仕方ねぇなー、なんて呆れ顔で差し出された手。
望んでいたそれをそっと握る。 あたたかな秀の手。
バカだなー、秀。
俺が、お前を見失うはずないだろ、なんて心の中で呟きながら。
ごった返しの人ゴミに感謝。
こうしてお前と手を繋いで歩きたかったんだ、なんて事は、ナイショの話。
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スミマセン(汗)
ちゃとくん作
「秀、何しとるん?」
「ん、ヨガ。 最近運動不足でさ。 特集が載ってたから、試してみようかと思って。」
「ほぅ、そういう事なら、俺も手伝ってやるよ。」
「え、いいよ。」
「いいから、いいから。 えーと、なになに? 両手を背中に回し肘をつかむ、と。」
「いてっ、いてっ、当麻、痛ぇって!」
「うーん、成る程、身体がだいぶ固なっとんな。 そや、ちょっと固定してみるか。」
「固定って、お、おい当麻、そのロープは何だよ。 まさか、うわっ、止めろって、当麻!」
「よし。 おっと、筋肉の流れを見るために、服も脱がせた方がいいな。」
「なっ、何すんだ、ヤメロ、解け、当麻!」
「えーと次は、『中心がよく見えるように大きく足を開きましょう』」
「そんなことどこにも書いてねぇだろが!」
「運動不足なんぞ、最初から俺に言えばよかったんや。 あるやろ? もっと効率よくて、気持ちイイ運動が(ニヤリ)」
「・・・この、バカ当麻!」
それから1週間、秀は口もきいてくれませんでしたとさ。
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漫画もらったー!嬉しい!!!
実はSSを漫画にしてもらったのだ↓
おおみそか
場所は俺たちの一緒に住んでいるアパート。
時は、おおみそか。
すべての戦いを終えて大人になった。
俺たちは別々に時を過ごしていたのだが。
俺と秀はまぁその・・・お互いがお互いを必要とする関係で。
一緒に暮らしていた。
おおみそか。
年越しそばを食べて。紅白を見て。
コタツに入りながら。みかんを食べていた。
テレビでは除夜の鐘が鳴り響く。
ふとしたはずみでコタツの下の足がぶっかった。
「痛~な!!足そんなに入れるなよ!!!」
秀のなにげないひとことにムラムラきてしまった。
「秀~~。」
「ん。なんだよ!!」
「触って・・・くれ・・」
秀はギョッとした顔をしてこっちを見る。
「おめ~よ。なにが悲しくておおみそかの。
除夜の鐘を聞きながら。そんなもの握らなきゃ。
いけね~~んだよ!!」
「たのむ。一生のお願いだ触ってくれ~~!!」
秀はあきれた顔をしながら。
コタツの下に手をいれ。
俺のズボンのジッパーを下ろした。
あぁ気持ちが良い。
なんで秀じゃないとダメなんだろう。
そんなことを考えていた。
いつの間に除夜の鐘が聞こえなくなり。
あぁもうちょっとというところでいきなり。
秀が手を離して立ち上がってしまった。
「秀~~~(涙)。」
「情けない声ださんなぁ。
続きは奥でな。」と言って布団を敷き始めた。
「姫はじめだな。」といったら。
いきなり「誰が姫だ!!!」と怒鳴りながら
マクラがとんできた。
俺は嬉しくなって。和室の障子をしめた。
今年もよろしく・・・・