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ハダカのココロ
曇りのない、強い瞳。
惹き付けられる。
・・・魅せられる。
その瞳で、俺を見るな。
・・・こんな時にまで、そのまっすぐな瞳で俺を見るな。
「・・・っく、やめ・・・と・・ま・・・んっ」
強く押さえつけた手首に、うっすらと痕が残る。
俺の下で揺れる身体。
目尻からまっすぐに落ちていく、涙。
・・・耐えられなかった。
無邪気な笑顔と、無条件の信頼。
まっすぐな視線を向けられる度、お前の強さと自分の弱さを思い知らされる。
ーーー欲しくて、欲しくて、欲しくて、壊れそうだった。
その瞳で俺を見るな。
そのまっすぐな瞳で、俺のハダカのココロを見るな。
ハダカのココロ~秀ver.~
すごい力で手首を押さえられ、
身体をまさぐられた。
普段からは考えられないほどの力と、
何よりその必死の表情に、
俺はその手を振り払うことが出来なかった。
「・・・くっ、やめ・・・と・・ま・・・んっ」
引き裂かれるような激しい痛み、何度も打ち付けられる、熱。
当麻の瞳の中に映る自分の姿を見た時、俺は気付いてしまった。
この熱を、望んでいたのは自分の方だったことを。
いつからか逸らされるようになった視線。
決して触れようとしなくなったその指先。
俺が求めていたのは、その先にある、ハダカの当麻。
目尻から、涙が零れ落ちていくのを感じた。
『理性』という鎧を脱ぎ捨てた今のお前を、もっと俺に見せて。
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春光
時計の針が0時をさし、月の光が窓から降り注いできていた。
当麻は自分の腕の中で眠る秀から名残惜しそうに離れると煙草に火をつけ大きく息をを吸い込む。
「綺麗な月やなぁ」
そう呟きながら秀を見つめた。先ほどの情事の疲れからか秀は深い眠りに付き目を開けそうにない。
煙を吐き出しながら当麻は秀と出会ったころに思いをはしらせていた。
『可愛げのない子供』
それは当麻が物心ついたときからたくさんの大人たちに言われ続けていた言葉。
たしかに物が分かりすぎているためか何事にも冷めている子どもだった。
しかし、そんな辛らつな言葉にさえ当麻は心を動かすことはない。ただただ、冷めた目で大人を、世の中を見ていた。
そんな当麻に転機が訪れたのは、当麻が中学2年に上がる少し前だった。
「と~まくん!当麻君!!聞いてるの?」
久しぶりに外国から帰ってきた母親が、いつもの調子で話しかけてくる。
「聞いとるって・・。今日来んねやろ?」
げんなりした顔で当麻は答える。当麻が唯一かなわない相手。それが母親だった。
「私の大親友の子なのよ~秀麗黄くん!当麻君より4つ下なのよ」
「・・・ふうん」
当麻にとってまったく興味のない話だった。
「そんな小さい子を預けるんは余程の訳ありやねんな」
ふっと鼻で笑うと、興味なさげに新聞を手に取る。
「ま~たそんな捻くれたことを言うのねぇ。違うわよ、麗ちゃんには小さい弟や妹がいて、もうすぐ新しい赤ちゃんが生まれるの。だから、落ち着くまでの3年間よ」
「あっそ」
母親の言葉も上の空で聞き流す。
「で、当麻君新大阪駅まで迎えにいきなさい」
「・・なんでそうなるねん。いやや」
「・・・・当麻君・・冷たいのね・・お母さん悲しいわ」
ふるふると肩を震わせ、目にいっぱい涙をためた母親を見た当麻は次の言葉が出なかった。
いやいやながら家を出る当麻の背に、とてもにこやかな母親の顔があったのは言うまでもない。
暖かい春の風が当麻を取り囲む。空を見上げると鳥が空を舞っている。
すれ違う人たちが『春だね気持ちがいいね』『さくらが咲き始めて綺麗だ』と話している声が耳に入ってきた。
しかし当麻には、その感覚が分からない。
当麻にとって全てはモノクロの世界だった。
花も人も動物も・・世界中全てに色がなかった。
感情というものも、色々な書物を読み理解はしているが実感したことがないのではっきりとは分からない。当麻自身もそれほど感情というものに執着がないためさほど困ることはなかった。
『つまらない世の中や』
常に当麻はそんなことを思っていた。
『早く寿命が来てくれたらええのに』
興味も、執着も、当麻にはなかった。ただ、時が早く過ぎ去ってくれればいいと、そればかり考えていた。
駅に着くと、そこは人であふれごった返していた。
当麻は下りの新幹線の着くホームの階段を昇る。途中で、新幹線到着のアナウンスが流れた。
「たしか、7号車やったな・・」
母親からきっちりと言い渡されていた場所へ足を進める。
すれ違うたくさんの人にうんざりしながら当麻はふと視線を前に向けた。
その時だった。
「とうまぁ!!」
行き交う人たちが振り返るほどの大きく、通る声が当麻の耳に入ってくる。
初めて聞く、声。
でも耳障りではなく、もっと聞いていたくなるような声。
「お前、当麻だろ!?俺、秀!秀麗黄!!」
声の主を見つけた当麻はものすごい衝撃を受けた。
一瞬前にはモノクロだった世界がまぶしいくらいに色づいて、当麻の心を揺さぶった。
薄いブルーの襟がついたセーラー服に同色のショートパンツ。
9歳と言っていたが、もう少し幼く見える容姿。瑠璃色の零れるんじゃないかと心配になりそうな大きな瞳と柔らかそうな髪。桜色の唇は『当麻』と自分の名を綴る。
たくさんの大人を掻き分けて、その小さい身体は当麻に近付きその勢いのまま抱きついた。
「やっぱりそうだ!俺の思ってた通りだった!
当麻は目の前がチカチカするような感覚に襲われながら、抱きついてきた秀の身体をそのまま抱え上げ人の邪魔にならないホームのベンチにすわりこんだ。
「・・・・な・・何やねん・・どないなっとんねん・・」
ドクドクと激しく脈打つ心臓と眩しすぎる世の中に軽いめまいを覚え、激しく動揺する自分の変化に当麻はついていけない。
「とうま?どうしたんだ?」
「・・え・・ああ、何でもない・・」
ひざの上に抱きかかえるように乗せていた秀が自分の顔を覗き込んできた。
「・・ちょっ・・顔、近づけんといてんか」
かあっと顔が熱くなる。
(あかん・・なんか変や・・何やねんコレ)
「なんでだよ、具合悪いんだろ?熱があるか見てやるから!!」
当麻の心の動揺なんておかまいなしに秀は自分の額を当麻の額に押し付けた。
「・・お前って・・体温低いんだなぁ」
熱のないことを確認した秀はにっこりとしながら両手で当麻の頬を包み込む。
「俺さ、体温高いんだ。温かいだろ?」
当麻はなぜか涙が出そうになった。
「お日様のにおいがするねんな」
秀に気付かれたくなくて、ぎゅっと抱きしめ秀のやわらかい髪に当麻は顔を埋める。
(気持ちええ・・ずっとこのままでおりたい・・)
抵抗することなく秀は当麻のされるがままに身体をゆだねていた。
どのくらい経っただろうか、やっと当麻から解放された秀は文句ひとつ言うことなく、にっこりと微笑んだ。
当麻の家へ向かう間、秀はずっと喋りっぱなしだった。
自分の家族のこと、友達のこと、そして、当麻に会うことが楽しみでしかたなかったこと。
「ひとつ聞きたいねんけど・・」
当麻が口を開く
「なんで、俺やってわかったん?」
「・・ん~なんでかなぁ?こうビビッと来たんだ。『こいつだっ』て」
ニコニコと秀は答える。
「間違えとったらどないするなん・・あほやなぁ」
「絶対間違えない自信あったもん」
「・・ふうん」
トクン。と心臓が鳴った。
「俺、当麻の会えてうれしいよ」
恥ずかしげもなくそう言い切る秀の言葉が当麻の鼓動を早くさせる。
(あかん・・変な気分になりそうや)
さまざまな女性と色々してきた当麻だったがこんな風に抑えが効かなくなるのは初めてだった。
衝動的に当麻は秀の手をひっぱり唇を重ねる。
秀は目をさらに大きく見開きながら身体を硬直させた。
ほんの数秒触れただけの軽いキス。
(・・やってもうた・・)
自分の行動に多少驚きながらも、どうやってこの場を治めようかと当麻は考える
「・・あ・・ぅ・・・」
「よろしくな秀。コレはあいさつやで」
ゆでだこのようになった秀を見て当麻は表情を変えずにサラリと言った。
「・・あ・・あいさ・・つ?」
「そうや、外人がやるのと一緒や」
「・・・いっ・・しょ・・」
事態を飲み込もうと秀は素直に頷く。
そんな姿も可愛くてもっと色々したくなってくる衝動をなんとか抑え、言葉を続けた。
「よろしくな秀」
真っ赤な秀の手を引き、当麻は家路を急いだ。
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灯
ちゃとくんと合作です。
カズナオ 作
俺は今まで町の灯をそんな風に見たことが無かった。
「あの灯のひとつひとつに俺たちも守った人が住んでいるんだぜ。」
あいつの。
なにげない一言で町の情景が変わった・・
ちゃとくん作
誰にも知られることがなくても、
命がけで守ったこの世界。
灯る明かりすべてに、どうか幸せをーーー
(満ち足りた当麻の笑顔が素敵です。
隣には秀がいるのかなー)灯2
ちゃとくんと合作
カズナオ作
考えてみれば。
俺が灯=人とうかばないのは。
もっともなことで。
「うちの家は明かり点いていなかったからなぁ・・」
とボソっと言ってみた。
「うん?何か言ったか?」
「いや・・・」お前に言ってみたところで。
何暗い事言っているだよ~~。と笑い飛ばすだろう。
それに今はお前という灯もあるし(苦笑)
ちゃと作
お前はきっと気づいてない。
自分の存在の大きさを。
ちょっとした仕草が、何気ない一言が、
灯火となって俺を照らす。
「当麻っ、何をもたもたしてんだぁ? 行こーぜ。」
「おー、待てよ、今行く。」
これからも、その灯りを道標に生きて行くだろう。
お前のそばで。